飲むスパイス生活


スパイスは香りがよく、食材に豊かな風味を与えてくれるだけでなく、健康や美容にも役立ちます。でも、どんなふうに料理に取り入れればよいか分からないという方も多いようです。スパイスを生活に手軽に取り入れることができるのがチャイです。

チャイとは?

チャイと言えば、甘くてスパイシーなミルクティーを思い浮かべる方が大半でしょう。「チャイ」とはヒンディー語やウルドゥー語で「お茶」を意味します。他にもロシア語、トルコ語やアフリカの言語でも「チャイ」と言えばお茶を指します。語源は中国語の「茶(チャア)」です。つまり、ミルクを入れなければいけないとか、このスパイスがなくてはいけないなどと言った決まりはありません。国によってチャイのスタイルは変わります。私たちにとって、一番なじみがあるのはインドのチャイです。スパイスが入ったチャイは「マサラチャイ」と呼ばれます。作り方は少量の水にスパイスと紅茶の茶葉を加えて煮だし、ミルクを加えて沸騰させ、濾してカップに入れたら砂糖を加えて飲みます。トルコのチャイはチャイダンルックという二段式のチャイ専用ポットを使って蒸らして作ります。上の段には茶葉だけを入れ、下の段に水を入れて火にかけます。沸騰したら上の段にお湯を入れ、上の段のチャイを蒸らします。こうして作ったトルコ式チャイはとても濃いのでお湯で割って角砂糖を加えて飲みます。ミルクは入れません。

チャイの歴史

チャイの歴史はそれほど深くありません。インドでチャイが日常に浸透するようになったのはイギリス統治の影響です。17世紀にイギリスの上流階級の間にお茶を飲む習慣が広がりました。やがてお茶を飲む習慣が一般大衆の間にも流行していきます。市井の人々もお茶を飲むようになり、需要はますます高まります。当時のイギリスでは中国から輸入した緑茶が一般的でした。ですが、イギリス人の食卓に緑茶は合いません。そこで中国安徽(あんき)省で作られた紅茶に目をつけます。茶葉を発酵させて作る紅茶はコクがありイギリス人の好みに合いました。そこで、イギリス支配下のインド、アッサム地方などで大々的に茶葉栽培を始めます。インド人の間に紅茶を飲む習慣はありませんでしたが、イギリス人の影響で好まれるようになります。しかし、良い茶葉はみんなイギリスへ輸出されてしまいます。残ったのはクズ茶ばかり。そこで、どうしたらクズ茶を美味しく飲めるだろうか、と考え出されたのが砂糖やミルク、スパイスを加えたチャイなのです。イギリス人が作りだしたティーを、自分たちの好みに合ったチャイに作り替えたのです。

チャイに使う紅茶は?

インド式のミルクとスパイスを入れたチャイを作るなら、紅茶はアッサムがおすすめです。アッサムティーの特徴は、コクがあるしっかりとした味わいと芳醇な香りです。アッサムティーの原産地アッサムは、インドの北東に位置する平原です。ファーストフラッシュ(春、最初に摘む茶葉)はアッサムティー特有のコクや渋みが弱いので、6~7月にかけて摘まれるセカンドフラッシュが最もチャイに向いています。この時期に収穫されたアッサムティーはスパイスに負けないパンチがあります。他に、ウバ、キーマンなどの味わいがしっかりした濃い紅茶もインド式チャイによく合います。

チャイの味わいは?

インド式チャイの味と香りは、「甘み」と「辛み」、さらに「爽やかさ」と「まろやかさ」が混在した複雑で奥深い味わいです。チャイに加えるスパイスは、シナモン、ジンジャー(生姜)、カルダモン、クローブ、コリアンダーシード、ブラックペッパーなどです。自分の好みに合わせてオレンジピール、レモンピール、ローリエ、ローズマリー、スターアニス(八角)、ナツメグなどを加えても良いでしょう。砂糖またはハチミツ、シナモンが甘みを出し、ジンジャーやブラックペッパーは辛みを、さらにカルダモンやオレンジピール、レモンピールなどが爽やかさを、そして牛乳がまろやかさを加えます。さらに、クローブを加えることでコクと深みをプラスできます。